一歩先を行く不動産投資法 法人化を知ろう
節税
不動産投資が順調に進むと収入も大きくなってきます。
所得税は累進税率なので最高税率は45%。一方、法人税の最高税率は23.4%です。
法人化することのメリットを考えていきます。
不動産投資物件も増えてきた、青色申告もしている… その次は
不動産投資の規模が大きくなると、その所得も増えます。
個人としての節税には青色申告特別控除と配偶者などに対する専従者給与が経費として計上できる専従者控除があります。
しかし、不動産所得が増えていくと個人の所得税は累進課税なので負担額も大きくなります。
一方で法人の場合の税率は最高23.4%で、それ以上あがりません。
法人化すればどれくらいメリットがあるのか
実際の税額計算には実効税率の比較など細かな計算が必要になります。
給与所得と不動産所得の合計がおおむね900万~1,000万円以上になったら、法人化を検討したほうがお得になります。
法人化のメリットは所得の分散
以下に法人化した場合のメリットをあげていきます。
- 所得分散が有効になる:配偶者や家族を役員や社員として給与を支払うことが可能。法人は経費と計上できる。
- 給与所得控除が使える:法人から支給される給与を受け取る側の個人も「給与所得控除」が使えるので手取りが増える。
- 中小企業基盤整備機構の「経営セーフティ共済」が使える:掛け金が経費計上できる。
- 退職金が支給できる:不当に高額でない限り法人は経費になる。
- 譲渡損を損益通算できる:投資用の不動産を売却して損が出ても他の利益を圧縮できる。
- さらにその損失は9年間繰り延べることが可能:個人では青色申告の場合でも3年間。
- 生命保険料も経費で賄える:保険金受取人を法人にすれば保険料を経費に計上できる。
設立手続き、経理などが面倒
以上のように法人化すると多くのメリットがあります。
ただし、もちろんデメリットもあります。
以下のとおりです。
- 法人の設立費用が発生する:おおむね25~30万円の費用がかかる。
- 法人の維持・運営費用が発生する:経理処理や申告の税理士費用等が必要。
- 赤字の年でも、住民税が発生する:法人は赤字であっても住民税の均等割の7万円を払う必要がある。
法人化はさらなる節税と資産家へのステップ
いかがでしょうか?法人化することで、あなたの不動産投資による資産形成のステージがまたひとつあがるのがイメージできたかと思います。
ただし、税務や運営がますます複雑になってきますので、不動産投資にあかるい税務・法務の専門家によるサポートが必須になります。
文/菅 正秀